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異端審問官を取り巻くもの [淫魔側世界観]

【情報管理局】
ありとあらゆる情報を収拾、管理、編集する集団であり、これそのものは独立した組織、派閥ではなく、国家に仕えし全組織に開かれたいわばwiki。
骨組みは数十年前から存在してはいたが、創立者の見舞われた『悲劇的な事故』により長らく骨組みのまま放置され、近年になって元研究機関幹部の脱退の折、彼の資産によって本格的に立て直される。
保存された情報は国家に忠誠を従う立場の人間なら無条件で閲覧可能、これもまた国家ハンターの持つ特権の一つであり、淫魔関係のみならず、政治、経済、宗教等、ありとあらゆる分野の情報を引き出すことが可能。
また、閲覧者に制限の掛かる極秘情報の整理等も行っており、その制限のレベルは組織から個人、血族まで多岐に渡る。
全ての味方たりえ、敵にもなりえる情報という不安定な物を取り扱う立場から、この集団とどの組織にも属さず、また完全な中立を保ち、他の組織間で起こる諍いから完全に除外された存在である。

【市】
違法と合法の境界にあるブラックマーケット、正式な名称は無いが、ハンター達はこれを『市』と呼ぶ。流通する商品は数多く、ドラッグを含む医療品、武器や兵器、生体の淫魔、素材バラ売り等、密輸品を含む売られていない物を探す方が難しい程。
その存在は完全な違法ではあるが、存在が利益となる為に国家公認、違法行為も余程目に余る事態にならない限りは目を瞑られており、故に違法と合法の境界とされ、これがこの国がハンターのメッカとされる理由の一つでもある。
しかし、これほど闇を行き来する人間が集まってはいるが寧ろ秩序は保たれており、市限定で最高権力を握る独立自治集団『ハイド』と呼ばれる支配人が存在し、無法の法に触れる者は秘密裏に闇に滅されるという。
多くの違法ハンターや密輸、取引に加担する『協会』を筆頭とする市を利用する多くの影達と、市に指先でも関わる間は厄介事を起こすのは禁止、という暗黙の契約が取り交わされ、共生関係にある。

【協会】
違法の法を取り仕切る者達、数多くの無法の闇に存在する星霜のギャング団、違法ハンター、商人達等が加盟しており、ハンターという不安定で物入りな事情を契約と引き換えに恩恵を与え取り仕切っている。
起源は不明だが、その昔は兵士の一族だったとされ、人の行き来が激しくその分精を求めた淫魔が増え、淫魔を求める無法者達の群れの所為で治安が悪化、生ける焦土と化した母国を憂い、独立して自治集団作り闇を切り開いたの始まりだという。
契約の代償は大体は売上の数%、取引した麻薬や宝石類の現物の何割かを上納金として差し出す等が主。恩恵は、協会と繋がりの深い『市』で弾薬や武器の割引、国家の手入れの回避等。契約を行った人間によってまちまち。
彼らは約束、誇り、家族、仁義を何よりも重んじ、例え末端の構成員だったとしても裏切り者に容赦が無く、また、自分の家族を傷付けられた場合は協会全体で粛清を行う。

【旧王族】
大昔にこの地に存在した王国の末裔達、国を無くし、王位を放棄し侵略を行った帝国へ忠誠を従うことと引き換えに滅亡を免れ、現在では国家の宗教を司る。
宗教とは多岐に分かれた人心を操る媒体、その他にも国民の精神傾向等の操作もしており、何が正しく、何が悪なのか、悪を犯したものがどうなるのか、国家運営において都合の良いように善悪の改変を秘密裏に行う。
非公認ながら、それぞれの宗派に分かれて淫魔を崇める邪教徒に紛れ、裏からそれを操作し、悪として公衆にて断罪する等、国民のやつあたりの矛先として加担している場合も。
旧国家が解体して千年以上が経過してはいる為、彼らを王家として崇める人間は無に等しいが、芸術品、文化財の所有等、完全に王家の全てを失った訳では無い。

【軍】
この国が元々帝国だった頃に設立されて以来存在し、様々な戦乱の中を勝ち残った軍事国家の名残であり、異端審問官の存在の影に隠れがちだが、現在の各国の情勢を逼迫させるほぼ一番の要員。
現在でも政治的方面に強い立場を持ち、総統ともなれば少なくとも国内で『表立った』五指の権力者に当たる為、その存在と影響力は現在でも恐れられている。
淫魔研究の副産物である国家が所有する異常に優れた兵器開発開発力によって、軍備は充実、あまりの非人道的効果によって使用に制限のある生体兵器等、不必要なまでの強化が施され、最早一国で国崩しが成せる程だという。
故に近隣諸国に意図していずとも無言の圧力が掛かり、戦争勃発の抑止力であると同時に、やられる前にやれ、の疑心を呼ぶ一触即発の状態をも運んでしまっている。
なお、普段は淫魔討伐関係に加担することはないが、ハイ、悪魔等、一般の国家ハンターではとても適わない個体を狩る場合、加担することがある。

【暗殺者】
国家に従う事の無い個人、邪教徒、組織を、国家情勢への強力な関与を代償として請け負う、国家公認で殺人の権利を持つ暗殺者一族。国内二番目の古き血を有する。
彼らの活動は常に『人間』専門であり、起源は異端審問官を動かす程の権力を持たない役人達が、自分達の家系の内から行き場の無い分家や妾腹の行き場が無い者を隠密として使い始めたのが始まりとされ、皮肉にも祖を作った役人達が王国ごと滅び去った後も彼らだけは生き延びた。
報酬はあくまで金銭ではなく権力、ひいては一族の保身に括られ、賄賂を受け取ることは一族単位で禁忌、悪徳とされているらしく、発見され次第例えそれが我が子であっても厳罰が下すという。
一方では保身以外に国家に興味が薄く、多数の違法ハンターが流れ込んで来る現状に対し、仕事が増えて嬉しい、もっと恩を売って待遇を上げよう、等のある種危険分子とも取れる態度が目立ち、批難を垂れる敵も多い。

【聖騎士団】
本来ならヴァチカンに所属していた法王直下の一族、此の世で最も古き正統血統を継ぐ最後の騎士団であり、騎士団長は世界で唯一『聖騎士』を名乗ることが許されている。
実際現代において騎士団が戦争に仕様されることは無きに等しいが、異端審問官が法の象徴なら、彼らはいわば正義の象徴であり、それら行使することが無くなったとしても人心への影響力は大きい。
しかし、勘違いをしてはいけない、忘れかけた人間は多いが正義の名の元に騎士団を駆ることは許され、幾つかの戒律こそあれ持ちえる武力行使に出た際はとても侮れるものではない。
歴代の騎士団長は聖騎士の称号と共に『ジャスティス』の渾名を受けるが、これは行う行動が善であるからではなく、彼が行う行動全てが善『ということになる』という、ある種の警告らしい。
現在は一族の血統が劣化したことにより多くが野に下り、残った最後の一人が異端審問官に預けられた為、聖騎士団の所属は異端審問官の所属国に移っている。

【アングラード家】
誉れ高き国家ハンターの名門中の名門、『ハンターとしては』押しも押されぬ勢力と権力を有し国内最強の呼び声高く、世界で最も強いハンターの一族は一体どれか、という話題に置いて出ない試しが無い程。
彼らは古き血を継ぐ純血種の人間ではなく、血統を重んずる他の闇の一族達からは忌み嫌われていたが、五十年前より頭角を伸ばし始め、近年国家ハンターの増加によって減る職を巡って国家ハンター同士で起きた未曾有の潰し合いに次々に勝ち抜き、現在の地位を手にする。
始祖は国家がまだ帝国であった頃、皇帝が戯れに当時の侍女長を孕ませ、都合が悪くなり野に追い立てられたその不義の子だとされ、後にその始祖は革命軍を率い帝国を滅ぼす。
容赦無く残忍で的確な仕事は一種の芸術ともいえる程だが、始祖の名残であるかのように一族同士不仲、諍いが絶えず、常に陰謀と策略が渦巻き、欲に目が眩んだ妻が夫を殺そうと義弟をたらしこむ等は日常。権力を巡って実母が実子を殺す等は茶飲み話にしかならない。
その性質上から孤立、他の組織との折り合いは最悪、近隣の国家ハンター達からは勿論のこと、特に異端審問官との仲は一触即発とされているが、実際はアングラード家が更なる権力を求めて勝手に喧嘩を売っているだけなので、異端審問官自身は他の国家ハンター同様に平等な態度を取っているという。
故にこの一族を『己の尾を噛む毒蛇』と揶揄することもあり、これは永久永劫の象徴であるウロボロスと、永遠に続くであろう骨肉の争い、自身の尾を喰らう、自身の親族同士で潰し合うという行為こそが彼らが望む『ハンター以上の存在』への、彼らの昇華を阻むのだということに『永遠』に気が付けない、という暗喩である。
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