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異端審問官を取り巻くもの [淫魔側世界観]

【情報管理局】
ありとあらゆる情報を収拾、管理、編集する集団であり、これそのものは独立した組織、派閥ではなく、国家に仕えし全組織に開かれたいわばwiki。
骨組みは数十年前から存在してはいたが、創立者の見舞われた『悲劇的な事故』により長らく骨組みのまま放置され、近年になって元研究機関幹部の脱退の折、彼の資産によって本格的に立て直される。
保存された情報は国家に忠誠を従う立場の人間なら無条件で閲覧可能、これもまた国家ハンターの持つ特権の一つであり、淫魔関係のみならず、政治、経済、宗教等、ありとあらゆる分野の情報を引き出すことが可能。
また、閲覧者に制限の掛かる極秘情報の整理等も行っており、その制限のレベルは組織から個人、血族まで多岐に渡る。
全ての味方たりえ、敵にもなりえる情報という不安定な物を取り扱う立場から、この集団とどの組織にも属さず、また完全な中立を保ち、他の組織間で起こる諍いから完全に除外された存在である。

【市】
違法と合法の境界にあるブラックマーケット、正式な名称は無いが、ハンター達はこれを『市』と呼ぶ。流通する商品は数多く、ドラッグを含む医療品、武器や兵器、生体の淫魔、素材バラ売り等、密輸品を含む売られていない物を探す方が難しい程。
その存在は完全な違法ではあるが、存在が利益となる為に国家公認、違法行為も余程目に余る事態にならない限りは目を瞑られており、故に違法と合法の境界とされ、これがこの国がハンターのメッカとされる理由の一つでもある。
しかし、これほど闇を行き来する人間が集まってはいるが寧ろ秩序は保たれており、市限定で最高権力を握る独立自治集団『ハイド』と呼ばれる支配人が存在し、無法の法に触れる者は秘密裏に闇に滅されるという。
多くの違法ハンターや密輸、取引に加担する『協会』を筆頭とする市を利用する多くの影達と、市に指先でも関わる間は厄介事を起こすのは禁止、という暗黙の契約が取り交わされ、共生関係にある。

【協会】
違法の法を取り仕切る者達、数多くの無法の闇に存在する星霜のギャング団、違法ハンター、商人達等が加盟しており、ハンターという不安定で物入りな事情を契約と引き換えに恩恵を与え取り仕切っている。
起源は不明だが、その昔は兵士の一族だったとされ、人の行き来が激しくその分精を求めた淫魔が増え、淫魔を求める無法者達の群れの所為で治安が悪化、生ける焦土と化した母国を憂い、独立して自治集団作り闇を切り開いたの始まりだという。
契約の代償は大体は売上の数%、取引した麻薬や宝石類の現物の何割かを上納金として差し出す等が主。恩恵は、協会と繋がりの深い『市』で弾薬や武器の割引、国家の手入れの回避等。契約を行った人間によってまちまち。
彼らは約束、誇り、家族、仁義を何よりも重んじ、例え末端の構成員だったとしても裏切り者に容赦が無く、また、自分の家族を傷付けられた場合は協会全体で粛清を行う。

【旧王族】
大昔にこの地に存在した王国の末裔達、国を無くし、王位を放棄し侵略を行った帝国へ忠誠を従うことと引き換えに滅亡を免れ、現在では国家の宗教を司る。
宗教とは多岐に分かれた人心を操る媒体、その他にも国民の精神傾向等の操作もしており、何が正しく、何が悪なのか、悪を犯したものがどうなるのか、国家運営において都合の良いように善悪の改変を秘密裏に行う。
非公認ながら、それぞれの宗派に分かれて淫魔を崇める邪教徒に紛れ、裏からそれを操作し、悪として公衆にて断罪する等、国民のやつあたりの矛先として加担している場合も。
旧国家が解体して千年以上が経過してはいる為、彼らを王家として崇める人間は無に等しいが、芸術品、文化財の所有等、完全に王家の全てを失った訳では無い。

【軍】
この国が元々帝国だった頃に設立されて以来存在し、様々な戦乱の中を勝ち残った軍事国家の名残であり、異端審問官の存在の影に隠れがちだが、現在の各国の情勢を逼迫させるほぼ一番の要員。
現在でも政治的方面に強い立場を持ち、総統ともなれば少なくとも国内で『表立った』五指の権力者に当たる為、その存在と影響力は現在でも恐れられている。
淫魔研究の副産物である国家が所有する異常に優れた兵器開発開発力によって、軍備は充実、あまりの非人道的効果によって使用に制限のある生体兵器等、不必要なまでの強化が施され、最早一国で国崩しが成せる程だという。
故に近隣諸国に意図していずとも無言の圧力が掛かり、戦争勃発の抑止力であると同時に、やられる前にやれ、の疑心を呼ぶ一触即発の状態をも運んでしまっている。
なお、普段は淫魔討伐関係に加担することはないが、ハイ、悪魔等、一般の国家ハンターではとても適わない個体を狩る場合、加担することがある。

【暗殺者】
国家に従う事の無い個人、邪教徒、組織を、国家情勢への強力な関与を代償として請け負う、国家公認で殺人の権利を持つ暗殺者一族。国内二番目の古き血を有する。
彼らの活動は常に『人間』専門であり、起源は異端審問官を動かす程の権力を持たない役人達が、自分達の家系の内から行き場の無い分家や妾腹の行き場が無い者を隠密として使い始めたのが始まりとされ、皮肉にも祖を作った役人達が王国ごと滅び去った後も彼らだけは生き延びた。
報酬はあくまで金銭ではなく権力、ひいては一族の保身に括られ、賄賂を受け取ることは一族単位で禁忌、悪徳とされているらしく、発見され次第例えそれが我が子であっても厳罰が下すという。
一方では保身以外に国家に興味が薄く、多数の違法ハンターが流れ込んで来る現状に対し、仕事が増えて嬉しい、もっと恩を売って待遇を上げよう、等のある種危険分子とも取れる態度が目立ち、批難を垂れる敵も多い。

【聖騎士団】
本来ならヴァチカンに所属していた法王直下の一族、此の世で最も古き正統血統を継ぐ最後の騎士団であり、騎士団長は世界で唯一『聖騎士』を名乗ることが許されている。
実際現代において騎士団が戦争に仕様されることは無きに等しいが、異端審問官が法の象徴なら、彼らはいわば正義の象徴であり、それら行使することが無くなったとしても人心への影響力は大きい。
しかし、勘違いをしてはいけない、忘れかけた人間は多いが正義の名の元に騎士団を駆ることは許され、幾つかの戒律こそあれ持ちえる武力行使に出た際はとても侮れるものではない。
歴代の騎士団長は聖騎士の称号と共に『ジャスティス』の渾名を受けるが、これは行う行動が善であるからではなく、彼が行う行動全てが善『ということになる』という、ある種の警告らしい。
現在は一族の血統が劣化したことにより多くが野に下り、残った最後の一人が異端審問官に預けられた為、聖騎士団の所属は異端審問官の所属国に移っている。

【アングラード家】
誉れ高き国家ハンターの名門中の名門、『ハンターとしては』押しも押されぬ勢力と権力を有し国内最強の呼び声高く、世界で最も強いハンターの一族は一体どれか、という話題に置いて出ない試しが無い程。
彼らは古き血を継ぐ純血種の人間ではなく、血統を重んずる他の闇の一族達からは忌み嫌われていたが、五十年前より頭角を伸ばし始め、近年国家ハンターの増加によって減る職を巡って国家ハンター同士で起きた未曾有の潰し合いに次々に勝ち抜き、現在の地位を手にする。
始祖は国家がまだ帝国であった頃、皇帝が戯れに当時の侍女長を孕ませ、都合が悪くなり野に追い立てられたその不義の子だとされ、後にその始祖は革命軍を率い帝国を滅ぼす。
容赦無く残忍で的確な仕事は一種の芸術ともいえる程だが、始祖の名残であるかのように一族同士不仲、諍いが絶えず、常に陰謀と策略が渦巻き、欲に目が眩んだ妻が夫を殺そうと義弟をたらしこむ等は日常。権力を巡って実母が実子を殺す等は茶飲み話にしかならない。
その性質上から孤立、他の組織との折り合いは最悪、近隣の国家ハンター達からは勿論のこと、特に異端審問官との仲は一触即発とされているが、実際はアングラード家が更なる権力を求めて勝手に喧嘩を売っているだけなので、異端審問官自身は他の国家ハンター同様に平等な態度を取っているという。
故にこの一族を『己の尾を噛む毒蛇』と揶揄することもあり、これは永久永劫の象徴であるウロボロスと、永遠に続くであろう骨肉の争い、自身の尾を喰らう、自身の親族同士で潰し合うという行為こそが彼らが望む『ハンター以上の存在』への、彼らの昇華を阻むのだということに『永遠』に気が付けない、という暗喩である。

逃げてきた子達 [他]

並びは年齢、下の子ほど年上

【幼】
バアーニャ・L・アガタ[Baa-nya・L・Agatha](アーニャ)♀ 2歳

ウァサ・ガーミジン[Uasa・ga-mijin](ジン)♂ 3歳
マルコム・ファルフォッロ[Malcolm・faruforro](マルコ)♂ 3歳

アリー・A・ハルバティ[Ally・A・harubatei]♂ 4歳
パヤ・ブエラ[Paya・buera]♀ 4歳
マティ・B・サレトマ[Yerbamate・B・saretoma]♂ 4歳
シトリナ・グラジオン[Shitorina・gurajion](リナ)♂ 4歳

エリア・ゼパール [Area・zepa-ru]♀ 5歳
ゼルエル・C・クラテティ[Zerueru・A・kuratetei](クララ)♂ 5歳
ミカ・サチコ・トレバー[Micah・sachiko・Trevor](サチコ)♀ 5歳
ベレアーム・レべ=レラナンジェ [Berea-mu・re・be=rerananje](レベ)♂ 5歳

【小】
アイゴールス・V・ハイム[Aigo-rusu・V・Haim](アイゴール)♂ 6歳
プーラ・ロンノウェイ[Pula・ronnowei](ロン)♀ 6歳
リト・アシュタロト[RiTo・ashutaroto]♂ 6歳

ハルファ・マルファ[Hullfa・marufa](ハル)♀ 7歳
トム・ロザリオ[Tom・rosary](ローザ)♂ 7歳

ギーァ・コルテス[Gi-a・Cortez](コル)♂ 8歳

ウィリアム・ディックス[William・Dix](ウィリー)♂ 9歳

コリー・ブライト[Collie・bright]♀ 10歳

ロジーナ・バートレル[Rosina・ba-toreru](ロージー)♀ 11歳

ナベリウス・クオレ=ポースト[Naberiusu・Cuore=Postrike](クオレ)♂ 12歳
ラグナジフ・オルファカロル[Ragunajifu・orufekaroru](ナジ)♀ 12歳

【中】
ディディ・ハーリーン[Didi・ha-ri-n]♀ 13歳
フォルネ・D・クォラス[Forune・D・kuorasu](フォル)♀ 13歳
ソレン・トゥルビア[Soren・tourubia]♀(レン) 13歳
ニモ・アーンスランド[Nimo・a-nsurando](アニー)♀13歳
ルイス・セジウィック [Lewes・Sedgwick]♂ 13歳
シトラ・フェニキアクス[Shitora・fenikiakusu]♀ 13歳

ジャニス・カベンディッシュ[Janis・kabendeisshu](ジャニ)♀ 14歳
クスーラー・ヴィネアム[Kusu-ra-・vineamu](クス)♀ 14歳
フィルクテテ・マルコシアス[Firukutete・marukoshiasu](フィル)♀ 14歳
フロエンス・C・ウウァル [Furoensu・C・uuaru](フロー)♀ 14歳
サンディ・マクドナルド[Sundae・McDonald]♀ 14歳

ヘインズ・ガルディア[Haines・garudeia](ヘイン)♂ 15歳
エディ・アシュレー=ビット[Eddie・Ashley=bit](アシュリー)♂ 15歳
クリフ・ガード[Cliff guard]♂ 15歳

【高】
フィッルカーノ・B・ミューラー[Firruka-no・B・Mueller](ミュレ)♂ 16歳
ダニエラ・ヴェリンスキー[Daniela・verinsuki-](ダニー)♀ 16歳
ランナーボルド・アイブス[RunnerBordeaux・AIBuSu](ラン)♂ 16歳
ハーゲン・クロケット[Hagen・crocket](クロ)♂ 16歳

フィリオン・ラムゥ[Firion・ramuu](ラム)♂ 17歳
アンソニー・ヒンドリー[Anthony・Hindley](アン)♂ 17歳
ディパ・ナック[Deipa・Knack](ナコ)♂ 17歳

ドルチェット・パルズ[Doruchetto・paruzu](ドルチェ)♂ 18歳
ラブ・ルーガル[Love・ru-garu]♂ 18歳
アスモアナ・H・ガーディー[Asumoana・H・Gade](アナ)♀ 18歳

0013:有形の真実 [もの]

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種族:竜人

外見の差異:
・両性
耳の直ぐ上辺りから小さく獣の耳のように突き出た角、大きさは副角と大して変わりがなく、感度も今一なのだが代わりに触角が発達している
角の代わりでもある螺旋形を描きながらなめらかな曲線で構成された触角は、先の丸まりが非常に急で先に丸いものが付いているようにも見えるが、それを伸ばせば他の誰よりも長く微細な動きをさせることも出来る。
羽は薄く、体毛等が無い代わりに非常に大きく長距離を跳ぶ形に特化されており、先に付いた指は殆ど骨に同化して動かない。下羽と主羽の大きさは同じ程度で、内側に収納出来ない。
副指の周りに大量の毛が生えていて、外見こそはただの毛と変わらないがこれは竜人の爪でしか切れない程強靭、一種の先祖がえりだといわれている。
二本目の触手だけ長い。鰭部分全般が未発達な為、水中にいることは苦手。

竜形体:鋼竜
巨大でサンショウウオに似た平面に近い本体。牙のようにも見える口元から伸び先が丸まった巨大な角、 体をうねらせて角で砂を掘り進める為に、眼球を守りつつ視界を確保する必要があり瞼は透明。
この牙の様な角は舌や触角を兼ねた感覚器官であり、地質や地表の様子、温度や湿度を触るだけで大まかに理解出来るので、地中で物に激突するようなことはない。
背中に頭部から尾に並ぶ山脈のように甲殻をもち、これは土の中を泳ぎながら移動し、同時に砂中で飲み込んだ有機物を体内で精錬して作った一種の特殊合金であり、外見は無機物だが感覚や神経は通っている。自分の感覚で取り外すことも可能(あまり多くなりすぎると重くて前に進めなくなる)
前足は羽状に進化して無く、背中に生えた退化した羽と二対で初めて空が飛ぶことが出来る。水かきならぬ砂かきの付いた後ろ足もまた退化してしまっているが、見かけよりは強い力を持ち、砂中に一旦潜ってからの大ジャンプを見せることがある。

人形体:
空気感のあるふわふわした子供。
まだ歳相応の幼い顔立ちをしているが、見せる表情は大人その物であって、癪に障らない程度の達観した物言いがそれに拍車をかけている。
何故か産まれ付き足首や手首が細く、女性の手で一纏めに出来る程度、本人は何もしていないし普通に動く(収納部位も普通)ので、特に問題は無い
足の平が大きい。

詳細:生死時間探求者
ある夜、家族に内緒で弟達が空を飛ぶ練習をしていた。当然、落ちたり、転んだり、「お前達の年頃ではまだ飛べないんだよ」と、釘を刺して、怪我が酷くなってしまう前に止めた。大人になれば飛べるようになる、時間が経過して、体が成長して。
荒涼として見える砂漠には山の様な生き物が蠢いている、彼もまたその空々漠々たる中に住んで生きる生命の一匹、ただ一つだけ他と差があるとするなら、彼を含む彼らには『死』というものがほぼ存在しない事だろうか。と、彼は考えた。
竜人の時間には終わりが無い、ただ少し遠くへ行ってしまうことがあったとしても、『死』と呼ばれることを経験した竜人は限られる程度(少なくとも自分の生きている限りは物の話にも上がった試しがない)しかなく、こうしてちょっとしたことで死を迎える生き物達と自分達の間には、決定的な差が見て取れる。
他にも大きく喰い違った所はある、生き物達が日々切磋琢磨して食料を得ようとしているのに、自分達はそう焦らなくても特に飢える事はない。飢え死にした竜人なんて聞いたことが無く、仲間同士で睦みあっていれば満たされる。
それなら自分達は『生き物』じゃない? だから自分達には死が遠い、普通の生き物から遠いから死も遠い、それでも自分達は水を飲まないと流石に辛い。太陽の光に当たらないと辛い。自分達は「生き物」に似た何か。なら、死に物? 生きているの反対が死なら、自分達はそこに転がっていたごみむしの死体と変わらないのだろうか。でも、死体は水を飲まない。
弟達が水を飲んでいる、水を飲むのは生き物の証だ、土や岩は水を飲まない。きっとまた空を飛ぼうとしているのだろう、まだ空を飛べる歳ではないと何度言っても聞こうとしないから困る。またそっと後をつけて、怪我が酷くなる前に止めた。怪我なんて竜人にとっては大したことではないが、痛い思いをさせるのは辛い。
もしや、滞っている? 止まっているのか? 竜人は皆、生命として停止している? 生命の停止、それは進化や退化、前進を失った時。そういった生き物は遠からず、何が作用する訳でもなく消えてしまった。自分が好きだった砂漠の鳥も、ある時からめっきり減って、それきりだ。考えれば、永遠にこの場に留まる事を選ぶ竜人が現れた段階で、きっと全ては始まって終っていたのだ。
確かに竜人が変化したという話は聞いたことが無い、なら竜人もまた止まってしまうのだろうか、止まって、そのまま風化して最初から居なかったように。死にもしないのに滅んでしまうとは、一体どんな状態なのだろう、生きていない状態を経験したことがないから想像も付かないが。
一度止まった進化が蘇ることは二度とない。ある日旅人がやってきた、行動を止めてしまった自分達と旅人はいったいどう違うのかを探して、止まってしまったものを元に戻そうと思ったが、今度は家族がその旅人をその場に止めてしまった。旅人が留まってくれるといったことは一個人としては嬉しかったが、彼も止まってしまうのかと思えば悲しくなった。
膝を丸めて眠ったある夜、拙い羽音で目を覚ます、体を起こして見れば弟達が飛んでいた。そんな、まだ飛べるようになる歳ではないというのに、どうして? 聞けば、旅人の変な飛び方を真似して、何度も練習をして、やっと飛べる様になったのだという。
この瞬間、自分の中で滞っていた全ては解けたのだと自覚する。
確かに竜人はその全てを不変のものにしてしまったことと引き換えに、生きながら止まってしまった種族ともいえる。それでも、「死んだ」という状態から遠いのは、生きているから、生よりも確固として輝く、ただの獣にはない死を遠ざける決定的な「要素」を自分達はまだ持ち合わせていたから。
それは、好奇心。
自分もまた、その好奇心で知らず知らずに動いていたのだと、自覚した。

備考:
・鰓やら何やらが発達していないこととは別にカナズチ
・水苦手
・竜形体で背中の鉱石を外した姿は恥ずかしすぎて人に見せたくないらしい
・意識すれば舌足らずな喋り方を正すことは出来るが、直ぐに戻る
・年下にお兄ちゃん風を吹かせるタイプ

百眼百手の者:お前だけが俺にもう一度歩みを教えた [もの]

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種族:竜人

外見の差異:
・両性
頭部から前方に迫り出すように反った角、根元付近で二股に分かれており、主角なのに副角と大して変わらない太さ。鰓はほぼ皮膚と同化して見えないが、機能には差し障りない様子。耳の中のひだがまるでスピーカーの中身のように凹凸している。
羽がなんとなく横に向って大きく広がり細長いので、他より皮の張った横の面積が狭め。
薄くよく動く舌、触角が根元から通常より太く、繊毛部分に毛が生えていない。その分が反動なのか、触手・副鰭には割増鱗が多く生え、普段は大して事無いが意識を向けるとどちらも物凄く硬くなり、丈夫。副羽ぶよぶよ、ふにゃふにゃ、骨が細い。
尾羽は無く、尻尾もぶにょぶにょ。神経は通っている。

竜形体:霞竜
粘膜が体表と皮膚と大して変わらない性質を持ち、顔の側面から大きく飛び出した目を左右別々に動かすことが出来、その角度は360度にもなる。
鼻の頭から前方へ突き出た角、舌は蛇腹状、普段はゴムの様に筋肉が収縮している。舌骨を押し出すことで縮んでいた筋肉が急激に弛緩し、前方に射出される作り。舌は粘着質で覆われており、獲物を付着させることができる。
巻きつくような形状の尻尾、指先にひだ。指は5本だが、前肢は内側の3本の指と外側の2本の指、後肢は内側の2本の趾と外側の3本の趾が癒合し二股になっている。
日光に強く当たる部分のみ所々鉱物化している。羽はその硬質化した皮膚(角)に守られ、非常に重いものの筋肉が凝縮されている為、一回の羽ばたきで高く飛び上がれる。
獣の目に映らないよう体表に模様を浮かび上がらせ、性質を変化させることが可能。カメレオンのような外見。

人形体:
ひょろひょろ縦に長い体型、日に当たっても日焼けしない体質で不健康そうなまっしろしろ。
前髪で顔を隠し、前髪を大きく伸ばして(後ろ髪よりもずっと長い)で顔を隠しているが、洋猫のような眼をしているらしい。しかし、幸薄そうなんだとか。
極度の猫背で胡座で座らせると前屈みになり、肘が地面に付いた上、そのまま頭を地面に付けられる程。

詳細:古い思念を手繰る
月の光を遮るもの一つ無い広大な砂漠、銀の月の下、荒涼とした風に思念を乗せて飛ばす者が一人。彼はお世辞にも外交的とはいえなかったが、同じ様に内向的で趣味が合う友人とは長く、深い付き合いをしており、この時間は何時も北の風を愛して旅の果てに風吹きの大洞窟に住んでいる自分より1000倍と強は長生きしているらしい友人と会話を楽しむ時間、この日もまた流れる流砂の様子を語り合って楽しんだ。
互いの活動範囲の大きな食い違いによって実際に会って語り合った事はなかった、互いが互いとわざわざ周りに迷惑を掛け合ってまで会わずとも思念を繋ぐだけで満足していて、肉体的な繋がりを愛する竜人の中、二人は稀有な性質を持った似たもの同士だったから成り立つ奇妙な関係。少なくとも彼にとっての親友ともいえる彼はどれだけ離れた場所にいても関係無く、何時でも同じ時に唐突な会話を始められる仲ではあったが。
ある時、また月の水面に思念を送り帰って来た思念が、まるで朧のように震えていたことに気が付く。一体何があったのかを訊ねると、彼の思っていた相手が「旅立ってしまった」のだと聞いた。泣いているのか、思念の震えが収まることは無く、一晩中互いの意識を繋いでいたというのに交わした言葉は二言、三言、ぶっつりと途切れた思念は夜明けの中に解けて溶けて、聞こえなくなる。初めて、傍にいないことを嘆いた、涙を拭えないことを。
それから精を感知することは出来ても思念を繋げる事が出来ず、月日は流れて二年、まるであの日が帰って来たかのように三日月の月光に紛れて彼の思念が届いた。あれからずっと旅をしていたのだと、もう一度旅をして沢山の物を見て、沢山の友人と出会って、話し合い、触れ合って、戻ってきたのだと。初めて驚きと共に気付く、感じる精は今までと比べ物にならない程近く、大砂漠の東の外れに立っているではないか。彼はほんの目と鼻の先、今すぐ傍まで来ているのだ。居ても経っても居られず飛び上がる。
誰も知らない場所を見つけた時の感動、新しい友達が出来たことの喜び、どんな場所を旅したか、どんなことを話したか、自分は何を考えたか、旅人になった彼は全速力で飛ぶ彼に語りかける。思念を返す間も惜しんで羽を動かし、流砂を通り越し、岩が転がる砂漠の終わりに近付き、遂に会話と変わらない距離まで精が近付いた時、今まで感じたことが無い感情に満ちた思念が届く。「ああ……やっぱり、お前だけが……」と。脳裏に浮んだ表情は泣き笑い、はにかんだ表情が霞に消えると同じくして、彼の思念と精は暁に旅立った。
砂漠の終わりに立つ。先程まで彼がいた場所に彼はいない、辺りを探しても精も何も感じる事は出来ず、彼は今度こそ存在ごと見えない。背に夜明けの輝きを感じながら、足元に一匹の虫が転がってるのを見て、指で突付く。動かない、この虫は普段なら獣の気配を感じただけで逃げてしまうというの、瑠璃色の殻をどれだけ触っても動かない。そうか、こうなってしまったのか。そう、彼は夜明けに目を細め、霞む視界を拭って再び背を向けた。
その後、旅の脚を踏み、仲間の背を見ながら考える。もしもこの背を失ったとしても、自分は旅の歩みを止める事は無いだろう、自分の後に付いて歩く仲間達の為に。ならば、たった一人になった時、自分は一体どうするのだろうか。瞼の裏の表情に今なら答えが出せる、きっとあの時動かなくなった虫と同じ様に、その時こそ旅の歩みを止めてまた新たな場所へと旅立ってゆくのだろう。
ただ、もしあの時の彼が浮かべた表情、あれと同じ物を自分が浮かべる時がやってきたのなら。また旅を続ける、その時の自分はまだ、探し残した事があったのだろうから。脚を進め、夜明けに立ち、場所を探し、人と出会い、旅を続ける。
その時の自分は間違い無く幸福なのだろう。
自分が決めた旅の脚を鈍らせる程の楽園を真の意味で見つけられたのだから。

備考:
・顔を隠しているのはただ単にシャイだから
・運は悪く無いがいかんせんお人好し

欺瞞の頤:博識が故に狂気 [あぎと]

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種族:竜人

外見の差異:
・両性
翼を広げるように根元から三叉に分かれた鹿の様な角、耳の形が全体的に丸いが長く下を向いており、妙に柔らかいので風が吹く度にプルプル動く。(聴覚に支障は無いらしい)耳先に産毛。
額(角と角の間)に生まれ付いて楕円型の痣があり、血液が激しく循環している時(様は興奮してる時)は赤く、それ以外の時は目立たない。
髪質は密集はしているものの一本一本が細いので、遠くから見ると(体色にもよるが)透ける、髪が。牙が鋭く、爪は薄く折れ難い(長く伸ばし続けても湾曲しない)上、伸びが速い。尾羽は無いが尾の根元に黒い羽が尾を被う程に密集、もこもこふわふわ。
精によって体色が変わる時、何故か斑になりやすい体質。

竜形体:裂竜
三つ首というある種異常とも取れる外見、胴体半ばから太く裂いたように分かれた首は、実は本物の頭ではなく前足が変化した物で、三つ首の外見で外敵をより多く威圧・警戒させる為の物。
体の割に頭(とダミーの頭)は小さめ、上顎の方が若干下顎より大きく、首(に当たる部分)から鏃形の鱗が刺の様に逆立ち、孔雀に似た飾り羽が口元から垂れている。
角は擬態をより完璧にする為に鱗とほぼ同化して短く、ダミーの頭にも角に良く似た大きく起伏した鱗が生えている。尾の先にも似た物が生えているが、此方は水中での強い推進力を得る為の鰭。
蛇腹、脇腹に浮き袋のような物が飛び出ており、羽の無い体で飛行が可能なのはその中で特殊なガスを精製することによって浮力を得ている為。
後ろ足は退化して無い。

人形体:
肌の色が何故か変化の度にランダムで、茶褐色にはならないものの、黄色→白すぎ死人色、まで幅広く『何故か』変化する。
だからといって肌質が変わる訳では無く、見た目はそれなりに綺麗だが、触ってみると意外と筋張っていて肌質はあんまりよくない。
髪の毛が遠くから見ると透けるのは此方でも同じ。

詳細:乱暴で我侭な自分
世界に自分は自分一人、しかし自分にそれは当て嵌まらない。自分という存在は三人いる、何時頃からだったかも解らない程の昔から、彼はそれを自覚し続けてきた。ふとした時に気が付く記憶の途切れ、空白の時間、だがしかし、その時間の間自分は行動をし続けているらしいのが推測の理由。
そして、『自分』が入れ替わり行動をしている時、『自分』が一度に複数人存在する事は無く、常に『自分』は『自分』一人で内部のみが入れ替わっているらしい。そして、『自分』が切り替わるタイミングは解らなく、外見的差異は無いのか家族や仲間は誰もそれに気が付く様子はない。
何もかも推測に過ぎない論理だが、彼にとっては何よりもしっくりくる、腑に落ちた物だった。だって自分は何時もおかしい、こんなに満たされているというのに、何時も何か新しい物が欲しくなる、退屈を感じてしまう。自分はおかしい。こんなこと誰にも言えない。言えばきっと嫌われてしまう。
今度の事も彼の中では「言えない事」の一つ、自分自身を複数持っているものなんて見た事が無い、旅人達の話にも、変な物を拒まれるかどうかもわからないが、獣達も異種には厳しい。突付き殺された白い鴉を見た事がある、その可能性を考える度、どうしても体の震えが止まらない。何よりも、きっと牙を向ける相手も辛い筈、そんな思いを大切な仲間にさせたくない。
自分一人の物ではない風景、自分の中でもう二人の自分はこれを見て、何を思ったのだろうか。早く自分を追い出そうと、自分の中で爪を立てている? 嫌だ、この場所は自分の物だ、誰にも渡したくない、こうして暮らし続けていたい、この退屈な毎日は自分の物だ。理由なんて無いけど、消されたくなんて無い。自分が最初に自分だった何かなのかなんて、誰にも解らないけど。
他二人を消してしまいたい、消される前に消さなければ、とりあえず自分を叩いてみた。当然痛いだけで、痛みを感じたのは自分だけ、直ぐに治った。他の二人もこうして自分を消そうと怪我をしたりするのだろうか。目覚めた時に治らない位の大きな怪我をしていたことは無いけど、何時かその日が来てしまうのだとしたら、怖い、怖い。
今日もまた幾つも記憶が抜けている、何時もの同じ退屈な日常、水を飲んだときの水の冷たさ、空を見上げた時の風の感触、誰かに盗られてしまった。こんなに大切なのに覚えていないだなんて、誰かに盗られてしまったに違いない。意識の入れ替わる境目を狙ってみたが、それはあまりにも日常的な境にしか現れず、あっという間に意識を奪われてしまう。退屈をかえせ。
そもそも、どうして自分は「二人」だと理解したのだろうか?二人だと思った理由。感心のある自分と、少し感心がある自分と、無感心な自分、外へ向う自分を含めた三人の自分はその三つに分かれているのだと、家族の話を聞いた時に知ったからだ。ならその別の誰かとコンタクトを取ってみようか、自分の中に語りかけたり、目印になる記号(別名、書き足したくなる絵)を地面に書いて、何か反応があるのを待つ。一向に反応は返ってこない。
ああ、そういえば二人は少なからず無関心なんだった、そんなに何の関心も持たずにいて辛くないだろうん、それとも辛いから無関心なのか。自分にも辛い事ぐらいはある、この退屈を感じてしまう心が何時か彼らのように無関心になってしまうこと、もう水を飲むことにも何も感じなくなって、このままでは自分は石になってしまうんじゃないだろうか。
抵抗を止めてから疑問に思う。二人の自分はどうやって自分の意識を奪っているのだろうか、殴ったり蹴ったり? でも、自分はそんなことをしたことがない。なら他の二人も同じかもしれない、こうして足を丸めて眠りにつこうとする度、知らない内入れ替わっている? 誰が本物の自分? でもそういえば、自分が無関心になったことって、あったっけ? そう、無関心になった記憶は、みんな二人が食べてしまった。 どんどん食べられる、無関心ごと、こいつらが自分を……消されたくない。消さなきゃ。
でも、こいつらも消されたくない? 自分と同じ様に? 解りながら消されてしまうのはこうして辛いけど、知らない内に消されてしまうのは悲しい、そんなの可哀想だ。こいつらが感心はともあれ、自分と同じ物として振舞うならきっと辛い、悲しい、自分が可哀想。そう考えると、知らない内に彼はその『自分』を消す事を止めた。
食われる意識は日に日に増えている気がする、具体的にいうなら、珍しい物の記憶は残っても、退屈の記憶は消えてしまう。退屈の記憶だけ与えられた別の二人はどうなる? きっと退屈だ、辛いだろう、可哀想だ。感情が二人を保護し始める、そうする内に自分はある決断に至った、他の二人も同じ事を考えているのだろうか? なら丁度良いかもしれない。
どうにかして皆を説得して、この場所を出て、もっともっと楽しいことを知ること。
そうすれば、可哀想な二人もきっと無関心なだけの何かにならずに済むのではないだろうか、そして、自分が退屈に食べられてしまうことも。他も同じ事を考えているのなら、互いに楽しい事をして、楽しい事を分け合おう。そう考えれば、きっと三分割も悪い事じゃ無い。自分が変なのなら、変なりに変に幸せになろう、同じ変な『自分』と。
退屈を感じ続けるのはあまりにも辛いのだから。壊れた自分と同じ自分達に同じ物を与えるのは、悲しい。壊れてしまった自分と同じ物に生まれてしまった彼らを、守ろう。

……その後、旅人に自分達と仲間はついて行くことになり、世界中の風景を見て回るようなってから、いや、外の世界へ出て行くと決めたその日から、自分の意識が何処かへ言ってしまうという事は何故か、無くなった。同時に、自分が自分で退屈を感じる事が増えた。
それでも自分は楽しむ事を止めない、また自分達が戻ってきた時に、退屈にだけ浸らせることがないように。

備考:
・髪が透けた時にハゲに見えるのを気にしている
・よく肘を擦り剥く所為で、傷が無くてもよく触る

砂の天秤 [一族以外]

頻繁に登場するモブっ子の淫魔側設定です。
(とても多い)

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ダレカサイド淫魔設定2:人の世の闇に住み、人の心を喰らうもの [淫魔側世界観]

【夢魔】

長く尖ってはいるが下に向って垂れた耳、瞳が金色をした黒色の眼球、矢印型の尻尾、淫魔とは逆向きに生えた角、蝙蝠のような羽、淫魔に似通ってはいるが異なる姿を持つ。血液は同じ青い色をしているが、肌の色は淫魔よりも青色が濃く、人間の認識では紫というよりは濃紺等に見える。淫魔と同じく精によって別個体の識別が可能、本人達は他から見れば純血淫魔と同じ精を発しているらしく、それもまた存在の不可視に一枚かっていたらしい。
世界的にも類を見ず現在に至るまで存在は未確認(淫魔ですら知らない)、資料や記録に彼らの存在は全く残されていない為、今世代に初めて発生した可能性もありうる。DNAの構造上、絶対に半端な両性具有の身体で産まれてきて、今代唯一の固体含む発生する全ての固体が新しい子孫を残す事は不可能。これだけなら突然変異という一言で片付けられるが、後述の理由はあまりにも淫魔に近くし、また掛け離れている為、これを淫魔同等の新種とした。
特出すべき点は彼らが喰らうのは人間の生命力(精)ではなく、精神力だということ。現在方法は不明だが、獲物に対して幻術を掛けて意識を奪い精神力を奪い、自分の糧とする。血液の色からすると彼らもまた精を吸っているのであって、精神力もまた精の一側面、幻術その物は同じだが吸い方が違うらしい。吸精に性交が必須かは現在不明、本人が性交に対して食物としての認識を持つ辺り、淫魔と同じと思われる。
精神力を失う=正気をを失う。奪われる量が少量ならハイ!になる程度で済み、ゆっくりとした環境で睡眠や食事を摂れば十分回復可能だが、量が増えれば増えるだけ世界が傾き・逆になり、あり得ない幻覚が見え、あらゆる感覚が狂い幻聴さえも聞こえ始める。キャパシティ以上を喰われた場合は発狂・狂死。
種族・同性問わず精神は吸い取れるらしく、淫魔・半淫魔からも吸い取った場合は正気を喰われた固体は自己の覚醒型を問わず暴走、最悪は悪魔と化す。考えようによっては淫魔の天敵。
身体能力は淫魔と変わらず、回復能力が優れているが、こちらは火傷や内臓破裂も容易く治る代わりに傷痕が残る場合がある。精神力を餌としているので正気を失う事も無く、それに列なる感情による変化、絶望死や満足死等の死因が無い。
謎多く、未だに解らない事の方が多い。妖魔との関連性もある模様。

薄命の者:ドングリとシイノミ [もの]

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種族:竜人

外見の差異:
・両性
副角が通常より二回り程大きく硬くなっており、目立って額から突き出ている。後頭部から生えた触角はまだ短いものの、先端へ行けば行く程繊毛の隔離が短くなって先端が埋もれている為、パッと形ごと別の物に見える。
肺器官が発達しているお陰で、副鰭と副鰓が外開きに(言い方変えると閉じるの下手)付く。防護液の分泌が活発なお陰で鰓の周りに生えた皮膚が長い。
尾羽の数は二本。根元にいけばいくだけ指先一本づつ太くなっており、(根元のしっかりした物なら更に)発火性が良いがもげ難いので、もごうとする前に他のきょうだいが代わりに火を付けている。
手足の部分だけ人の手に近く爪が短い為、細かい事が得意。足先の指が長いので物を掴める。羽先の指なんかも長い、掴める。

竜形体:狼竜
体表の見える部分に鱗が少なく、竜にしては珍しく哺乳類的(竜人は胎生)な特徴と、耳が長いこと以外は狼に似た外見を持つ。(しかし巨大)濡羽の様にしっとりとした毛並み、頭部からから肩まで(長さから考えると体を被う程)生えた鬣は揺らぐ炎にようで、毛の先まで神経が通っているので自意識で動かせる。
鼻先から生えた一本角には角飾りらしい硬質な文様、長い牙、羽ならぬ毛に覆われた羽。何れにも文様が入っているが、これは威嚇の為ではなく、本当に文様の分の溝によって体温調節を図っているらしい。
息を吸って吐く勢いで口内の大気を圧縮することが出来、岩盤にも穴を開ける威力の空気砲を放つことが出来る。ふさふさの尻尾は毛を硬貨させてハリモグラの様に飛ばせる、一度肉に刺さった毛は内部でささくれる為、抜けない。

人形体:
ロリロリのつるぺた、かわいい幼児体型というより人体として未発達といった風で、内臓が詰まっている所為で出た腹と僅かながら肋骨が浮いているのが特徴。
元から人の様な脆さと儚さが同居した形をしていたが、それに余計に拍車が掛かり、歩いたら折れそうな生物離れした印象。(でもちゃんと動くし食べるし出します)
足の指が長いのはコチラも同じ、物が掴める。

詳細:
趣味、巣作り、自分を語る上で一番に出てくるのはコレだろう。木の枝、がまの穂、鳥の羽、獣の毛、そういった物で出来た城は、自分が自分で作った家。あなぐらより夜寝易いと割りと好評だった時から作り始めた。
風当たりのある所に作ると翌日には十中八九壊れている、大砂漠の夜風は強すぎて、細かい事をするのは昔から好きだったので作り直すのは苦痛ではないが、残骸になった物を見るとほんの少しだけ自分の中で感傷が首をもたげる。
自分達は基本的には雑魚寝、良くて適当な葉っぱを掛ける。体から生えたこの羽は鳥の羽なんかよりずっと温かいし、家族同士で肌を擦り合わせていた方が心が落ち着く。
外の世界の人は巣を作らないらしい、理由は解る、自分達には必要性が無いから、第一同族の大半は旅をしながら暮らしている、一々作っては壊れる物に気を掛ける程酔狂でもないということだろう。
渡りに慣れていない旅人の宿として作った巣を与えたことがあった、悪意はない様子だったが随分と笑われた、こんなことをしている同族を自分は見た事がない、と、ほんの少し傷付いた。
ただ、それは外は自分に足を遠ざけさせる理由足りえた。自分は本当にこの無駄な工程が好きなのだ。大きな鳥の羽を拾って組んだ木の枝に刺す、寝るだけだったら別に穴を掘ってそこに潜っているだけで良いだろうけど、物を作る事を無碍にするのは好きじゃない。
今日作った巣も壊れた、砂に埋もれて。砂を掘ってあの見事だった羽を捜す、捜してどうするという訳でも無いが、砂を掘ったら割りと直ぐ早く出てきた。ヨレヨレになったそれを見た時、こんなものの為に焼け付く砂に手を突っ込んだ自分は馬鹿だろうか、そう一瞬考えて、直ぐに否定する。
良い方を欲しくなるのは悪い事ではない筈、眠りやすい場所、食べやすい食べ物、そういった心地良い物に囲まれたいと、誰もがどうして思わない、思えないのだろうか。
大オアシスに人が来た、そこそこ年齢を重ねた旅人らしく、見た印象は父がして見せる竜と人の中間の形体、アレなのかと思うような男の旅人。彼は一人で、愛想が無い訳ではないが、今までの旅人よりもずっと無口だった。
蜘蛛の巣を一纏めにして外れへ運ぶ時、その旅人が自分の後ろに立っているのに気が付いて、木を組み始めた時からそこにいるのだと言われた。つまり、物を作る姿を見られた。
今日の夜会うことを約束させる、自分は可笑しいことをしているのだろうか、その晩は(変かもしれないが)自分の作った巣に潜り込んだ。約束の場所は此処、火を焚けるように開けた穴から尾羽の燃える煙が出て、オレンジ色の光は石で囲んだ穴に収まって、葉を焼く事は無い。
旅人は約束を破ったりはせず、黙って自分の巣に来てくれた、普段はあれだけ妙なマネをされるのは嫌がっているというのに、こんな簡単に着てくれるとは正直驚く。木の枝の先に裂いた林檎を刺して焼いて二人で食べた。すっぱい。
自分はそんなに不安げな顔をしていたのだろうか、旅人が心配して頭を撫でてくれた。こんなに細かく作られた巣を見るのは初めてだ、と目が細められる。変だろうか、答えは直ぐに帰って来た。「変わっているかもしれないが、自分は好きだ」と。
頭に乗せられた手は自分をあやす為ではなく、賞賛として、自分を褒める為の物だったのだ。
数回の夜が過ぎた後、この旅人はこの砂漠に……殆ど強引にだが、暫くの間定住する事になった。大ムカデの甲殻の欠片、明日はコレで何か作ってみようか、日に透ける色のそれを見ながら考える。

物の良い所は何度壊れても、壊しても、何度でもまた作り直せること。

何時か、何時かこの砂漠から自分が旅立つ時は、仲間と体を擦り合わせて、穂綿の感触を必要になった夜の為にまた巣を作ろう。
頭を撫でてくれた手を思い出して。

備考:
・足先器用だが爪が短いのでよく落ちる
・足の指で木の枝をクルクル回せる

虚の者:音も無い温もりが二人を包んで [もの]

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種族:竜人

外見の差異:
・両性
太く左右に向って伸びた角が特徴、伸びすぎた爪の様に筋が根元から先端に集まっていて、手触りはざらざら。先端まで血管と神経が通っている為、触ると妙に柔らかくて温かく、根元からは脈が計れる。
体表の鱗が非常に多く成長していて、それはもう手足は勿論のこと胸から腹から羽から果てには頬まで生えており、感情が昂ぶると鱗が逆立って精の色に波打つ。
羽は主羽こそ歳相応の物が生えているが、鰭も含めて二対は小さく、飛行はそこまで得意ではない。主羽の表面に何故か(太っても無いのに)皮が沢山余っており、触るとぶよぶよしている。
ひょろりと薄く、細く、繊毛が生えていない長い触角、精度に優れすぎて遠くの「感覚」まで共有してしまう程、だとか。

竜形体:蛾竜
顎が嘴のように進化した小型の獣脚類風の外見、鱗の一枚一枚が細かく体毛は無し。棘のついた襟飾りを持つ。襟飾りの表面には体内で生成される鱗粉の様な物で大きな目玉模様が描かれており、大きく広げることによって威嚇をする。襟飾りは空中や水中、地中の音が分散し易い場所での聴覚の強化を図った物。
羽は蛾の羽に似た形状、二対一組で飾り羽があり、皮膜部分が少なく肉厚で襟飾りと同じ様に表面が鱗粉に包まれ、ひだ状の文様が浮かび上がっている。この鱗粉は防水作用が非常に強い為、水中にも問題無く進んで行く事が出来るが、何らかの衝撃で落ちてしまった際はまた生成されるまで飛べない。
目の真上に二本角、血の通った部分(眼球も)を強化する為に根元は装甲状になっており、実際の角(骨)の太さが、これによって更に太く見える。
尾は先端部が根棒状で、最先端が細い針のようになっており、根棒状になった部分で体内の鱗粉を液化することによって同一の物質で出来た麻痺毒や、溶解液を刺し込むことも可能。
鱗粉は別生物の体内に入って初めて毒性を持ち、生成前は強い興奮作用を持つとか。

人形体:
何時も眠そうな顔をした地味っぽい美人、左目だけ何故か二重。あまりにも夜更かししすぎ三重や四重になっている時もあるという、左目だけ。
肌の色は白く、鱗が無くなった場所にほんの少し血の色が透けて見えて、見ようによっては治りかけた傷痕の様に見えなくも無い。
骨の薄い耳は柔らかくて痛覚所か感覚も鈍く、ちょっとしたこと(押すとか)でぶよ、と形が歪む。
別に肉が無い訳では無いのに骨格が浮いて見えるのは最早体質。

詳細:揺り起こす子供
昔、西からやってきたという来た旅人が興味深げに話を聞く家族と火を囲んでいた時、旅の話のついでにこんな話をしていた「この世界はとてもとても大きな竜が見ている夢で、世界の終わりはそいつが目を覚ました時なのだ」と。
少しだけ怖くもある不可思議な話を聞いた夜、夜更けに独りで輪を離れて音も無く冷え切った風に体を晒し、大声で叫んだ「オーイ」渾身の声で叫ぶと、辺り一体で活動をしていた生物が身を縮こまらせ、眠っていた小さな物が飛び起きたのを感じる。それでも、期待していたことは何も起きやしなかった。
その日から、こうして叫ぶ事は自分の日課になった。目的は、夢を見ているらしい誰かを叩き起こす為、自分の夢や寝言に起こされるなんて珍しい話でもないし、こうして毎日叫べば何時かは起きる筈、「オーイ」今度もまたピクとも反応しやしない。
別に「世界を終わらせてみたかった」とか、そんな訳では無い、世界を終わらせる程の不満も、不満を感じる為の感情もとうの昔に薄れて消えた。今こうして叫ぶ理由だって、考えてもキリが無い、強いて言うなら知的好奇心。ということにする。
揺さぶり起こしてやりたいところだが、竜の姿で大暴れしても本人を殴ったり叩いたりしないなら、実力行使で起こすというようなことは出来ない。第一、竜になって暴れようとしたらバカに全力で叩き伏せられて、目が覚めたのは日が暮れてからだった。まだ頭が痛い。
ねぼすけめ、今日も叫ぶ「オーイ」勿論、夢の終わりが見えてくる筈が無く、最近の奇行を家族に取り調べされる。朝○ちさせてやれば起きるのではないか、と言われたので、思いつく限りの痴態を(一人で)演じてみたが、直ぐに「一人で」は撤回された上、虚しくなったから止めた。
竜人は何時頃から自分達が存在しているかを知らない、自分が確証を持てる限りで3000年、もしかしたらその歴史すら一瞬の夢で作られた物なのかもしれない。3000の夢なら、どうしてそんな長きに渡って目覚めないのか、それがどうしても知りたい。兄弟達の感情が外へ向っているのも、世界が滅ぶだとかも、興味の前には塵の如く軽かった。
感情が感情を呼んだのか、あのバカが外から沢山の旅人を連れてきた、これは確実に皆付いて行くだろう。バカがお膳立てしたのも、筆頭の男が魅力的なのもそうだが、何よりももう皆限界だ、外への興味が抑え切れやしない。決断は、思っていた通り早く、数日後に自分もまた旅の空にいた。叫ぶのは止めない。
地面が揺れる、水面に映る三日月がゆらめき、物凄い水飛沫と共に泉の水が立ち上がって周りの木々を薙ぎ倒し、辺り一体に撒き散らされる。自分と、誰かが水に巻き込まれて、遠くを飛んでいる仲間からどんどん離れていって……目が覚めた時、汗がびっしょり出て喉がカラカラになって、急いで水を飲みに行った。最初に付いたこの泉の形、夢の中に出てきた物とそっくり、同じだ。
空に浮んでいるのは三日月、後ろを振り返ると旅人が来ていた。こっちに来てはいけない。夢の通りになってしまう。そんな気がして、自分は泉の方へと逃げる、相手は追ってきて、自分の手を掴んで思い切り抱き寄せた。水の冷たい感触、どうやら、あんまり勢いを付けた所為で泉に落ちたらしい。しかし、泉は夜の明かりでは深くも見えたが、体を収めてしまえば腰にも満たない。
二人で笑った、今度は上手く笑っていた気がする。
びしょびしょになった体を乾かそうと、一番日が当たりそうな所へよじ登って、抱き合って眠った。
臆病な過去の自分を自分で嘲う。
ほらみろ、何をそんなに嘘に怯えていたんだ。永い夢から覚めたって家族も、仲間も、自分自身だって、ちゃんとこうして存在しているじゃないか。

やっと見つけた。やっと目が覚めた。

備考:
・耳の中に耳を収納するなんて芸当も出来るとかなんとか
・飛ぶのは苦手だが気流を掴むのは得意

0014:奥の方まで乾く間無い程、本物の恋をしま鮮花w [あぎと]

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種族:竜人

外見の差異:
・両性
先が大きくぺこっと折れた様に垂れた角、どうやら先に外側(根元以外は神経通ってない)が成長した所為で、芯が定まっていなくて折れてしまっているらしいが、現在も外側のみ問題無く成長している。(ので、角の割りに柔らかい)
耳が頭の真横に付いており、角度的に尖った部分が尖ってみえない。足が小さい。足首が細く、まだ何処も鱗も生え揃っていないが、鱗になるらしい毛の様な物は各所に生えており、逆撫ですると少しちくちくする。尻尾の周りが尻尾の成長より尾羽の成長が早くて兎の尻尾状態。
羽は小さいが骨が太いので将来有望らしい。触角ふさふさ。

竜形体:まだ竜になれない

人形体:まだ人になれない

詳細:蜃気楼の友達。
知っているだろうか。砂漠の砂は驚く程サラサラしていて、手に掴もうとしても指の間から次々に落ちて行く上、あまりの熱と夜の冷に黴菌一つ存在していない。よく見なければ何も無い砂を掘って時々見つかる物、これが砂漠の薔薇、砂の結晶。
自分が砂漠の薔薇を拾った時の使い道、蹴る、自分はコレを蹴るのが得意だ。勿論、力の加減をせずに力の限り蹴るだなんて、そんなマネは誰だって出来る。そんな乱暴に扱えば砕けてしまうが。自分が得意なのはこの脆い砂の結晶を砕かずにずっと蹴り続けること、まあ、様は石蹴りと同じ。
最初に見つけたのは歩いていたら足の裏に刺さった時、怒りに任せて蹴ったら簡単に砕けたのを見て、何故か残念な気持ちになった。次に見つけた時は足の裏は無事だったが、手の平に刺さった、砂漠の薔薇は自分に何か恨みでもあるのか? 血がうっすら滲んだそれを拾い上げて見ていると、どうにかしてこれで遊べはしないか、そんな気持ちがふつふつ湧いて出る。
結晶の一部を千切る、ボロボロに崩れて二つ取れてしまい、薔薇の形ではなくなった。飽きるまで弄って遊ぶ頃には、形を失いつつあったそれは、一倍最初の芯だけになっていて、これは蹴ってみてもすぐ壊れたりしない。面白くなって蹴る、もう一度蹴る、ずっと蹴った。
朝起きて気分によって食事をしたら、最後に結晶を置いていった場所へ飛んでいく。大体は埋まっているので掘り起こす。そしてまた、道なんて無いが砂の海を真っ直ぐ、結晶を蹴って進んで行く。飽きたら結晶を置いて帰る、朝になったらまたやってきて……大体はその繰り返し。二、三日放っておくと、また結晶が伸びて掘り起こす時に手に刺さるのが難だ。
その日も結晶を蹴った、蹴り転がった結晶の行く先を目で追った時、自分は驚いて後ろに半歩退く。気が付けば目の前の砂漠は無くなっていて、青々と命が溢れかえる緑色の丘と白い岩が突き立った山が広がっていて、砂の中では何の違和感も無かった砂の結晶が浮いて見える。
これが自分達が近付く事を止めた外の世界、砂の途切れた場所に立ち尽くしながら、幸い回りに同族がいないことを安堵しながら、結晶を拾おうと手を伸ばす。さっさとこの場所から逃げたかった、砂に埋もれた自分を「場違いだ」とでも罵りそうな外の世界、正直、恐ろしくてたまらない。
だが、緑の上に転がった砂の結晶にどれだけ手を伸ばしても、小さな子供の手は届かなかった。膝を付いて限界まで手を伸ばそうとしても、冷たい土に膝が擦れた時、恐ろしくなってその場から飛び退いた。気が付けば自分は逃げていた、長い遊び相手だった結晶を置き去りにして。何故かその夜は眠れなかった。

砂漠の薔薇なんてまた新しいのを探せば良い、でも、その日で結晶を蹴る遊びは止めてしまった。旅立ち、砂漠の縁に立つのはこれで二度目、この道を通る事を進言したのは自分、理由は簡単だ、あの場所には自分が置き去りにした結晶があったから。今はもう、無くなってしまっているのだろうが。
一歩、冷たい土は思っていたよりずっと硬くて、それでも自分を拒絶して砂漠へ押し戻したりはしない。今なら何故自分があの結晶を失ったことをあれだけ後悔していたか、良く解る。そう、自分はあれにいもしない友達の影を見ていたのだ、朝起きて、遊びに行って、日が暮れたら帰ってくる、そんな蜃気楼を。
予想通りに結晶は雨に溶けてしまったのだろう、残ってはいなかったが、思ったよりもずっと悲しくは無かった。自分でも、もっと泣いたりするのではないかと思っていたが、緑色の上に転がってた結晶を思い浮かべても涙が浮かんでくることはない。不思議そうな顔をして自分に振り返る旅の仲間、追いつくよう緑の上を走る。冷たい、でも悪く無い。

自分は幻想ではない友達も、家族も、仲間も出来た。
それでも自分は忘れないだろう、幻想の中で幻想を誤魔化してくれた、優しい結晶の思い出を。

備考:
・外に出てからはとりあえず土を丸められることに感動していた
・口調は罰ゲーム
・体力無くて走るの苦手
・石蹴りと石投げが得意
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