SSブログ

パチモン:昔語りをしよう、明けない夜を歩くもの達の [者]

本設定コチラ


所属:異端審問官
・フリー

種族:人間

外見の差異:
・両性
・人間色肌、人間耳
・尻尾、触覚無し

詳細:異端審問官の稼ぎ頭、他とは違う一線を歩く夕焼けの三つ子
恨みがあるから悪魔になる事を選んだのか、悪魔だったから恨みを根強く持てたのか、昔々ある所にありふれた家庭でありふれた両親に育てられ育ったありふれた男が居た、彼は人並みに欲深で人並みに誠実で誰からも好かれる特技があった訳では無いので人並みの友人を持ち、普通の学校に通って普通の企業に勤める事になった。特に特出して取り上げる事も無いただの人間の人生、気がついてみると自分の人生には起伏が無かったなぁ、とかそんな事を思い出して笑ってしまうような、そんな平凡で笑ってしまえる人生を彼は日々送っていた。ああ、でも一度だけ黒ずくめのバンの中で泣いている女の子を助けて、実はそれが誘拐犯の車で……なんてこともあった、きっとこれが彼の人生のハイライトだろう。
そんな彼の人生の転機は彼が恋をしたことだった、相手はまた特出して書くことも無い少し人より綺麗で、それでいて男が好きな料理が上手なありふれた女、ただそれでも彼の中でそれは地殻変動の一つや二つ起きた所の騒ぎではない程の大騒ぎであって、毎日彼女を思う度に胸が苦しくなってしまったり、彼女にちょっと気にしてもらえた、飲み会の時に隣の席になれた、そんな事で一喜一憂できる片思いの素晴らしい時期。この時、彼は間違い無く幸せだった。そんな彼に気に掛けられている彼女もまた、実は彼の事が気になって仕方が無かった、誠実で誰にも優しくて父性の溢れる頼りがいのある男性、彼が一喜一憂するのと同時に彼女もまた一喜一憂している事に気が付くのはそう先ではない。
数年経って二人が結ばれて、更に数年経って二人の間に可愛い子供が出来て、また彼の人生は起伏の無い変凡な物に戻ってしまったが、彼は別に人並みの欲は持ち合わせていてゴットファー○ーを見た後はちょっとダンディな気分に浸ったりする男ではあったが、別に自分がそうなりたいとは本気で思った事は無いので、その辺りは釣り合いが取れていた。これからまた、今度は二人でゆっくり歳を取って平凡な一生がこれから先も続く、時々起伏がまた出来たりした時は孫が産まれた時かな。年齢にしては若干じじむさいが平凡な一生、その幸福な静寂をぶち破ったのは一本の電話のコール。『抵抗すれば射殺する』という異端審問所からの無情な宣告、彼も彼女もその子供も平凡な一生を望んでいたが、彼の向かいに住んでいる女は一大スペクタクルの方が見たかったのだ、自分の向かいに住んでいた人間が実は淫魔の奉仕者で、異端審問に掛けられるという一大スペクタクルが。
彼が次に目を明けた時に見たのは自分の千切れた両足、悲鳴をあげる前に喉を突いた血反吐と焼け付くような半顔の感覚、目の前のバラバラにされた肉隗の正体等は最早考えることもできない、彼は彼自身の痛み、自分の足を永遠に失ったその結果のみでただ叫んだ。その後かれは異端審問所から釈放される数少ない人減に選ばれ、運良く生きて帰る事が出来たが、それもまた悲劇でしかない。手も足もなく道に転がる事しか出来ない、一度異端審問で裁かれた人間なんて誰も助けやしない、誰からも見捨てられそのまま死を待つばかり。彼は悔しかった、あの時妻子が殺された憎しみよりも我が身の恐怖に気を取られて、それだけしか考えられなかった、自分は恐怖の虜だった、そのことが。立ち上がる事すら出来ない体に出来るのは憎しみを喰い絞める事だけ、何を憎めばいいのかすら解らない、自分を告発した人間を殺せばいいのか? 全てを奪い取った異端審問官を殺せばいいのか? 現況たる淫魔を殺せばいいのか? 憎しみが憎しみを呼び、自分が何者かなのさえ曖昧になった頃、彼の人生に三度目の奇運が舞い降りる。
憎しみに駆られた彼は何もかもを壊した、うずくまって大切な物を守る彼女を哀れと思うには、彼の泥はあまりにも出来上がっていた。異端審問官に異を唱える人間は多い、彼らはあまりにも古く罪を重ねすぎた、正義であると同時に彼らはあまりにも邪悪になりすぎたのだ。数年後、自分と同じ様に異端審問によって全てを失った人間は組織を結成、決起し、歴史市場稀に見る大暴動、そして自分の命を投げ打った4度の自爆テロ。天の玉座に座りきった異端審問官達と徹底抗戦の末に決起虚しく彼らは皆殺しにされ、捕らえられた人間は皆ま恐怖の虜となってしまったのだが、その分相手にも大量の死人を出してやった。黒い髪、青い目、褐色の肌、自分を殺す何者かが自分を八つ裂きにする刹那、彼は自分が最初から勝てない事なんて知っていた事を思い出す、彼は自分の全てをぶつけて『勝てない』ことを知って知りたかった、何もせずに死んだという事実だけは掻き消したかった。憎しみの前に泥と消えた思考の中、最後にそのまま蹴り殺してやろうとした異端審問官の女、彼女の腹を蹴った事に無責任な罪悪感を持ったまま、彼の翻弄される人生は幕を閉じる。
恨みがあるから悪魔になる事を選んだのか、悪魔だったから恨みを根強く持てたのか、これはありふれた絶対権力の齎した悲劇の物語。現実にあったからこそその先に続き、更なる悲劇に繋がる、悲しい悲しい物語。

備考:
・幼少期、延々と壁の一方向に向って歩き続けるという奇行を行っていた。
・特技は片割れ三人の変装、最早変装という域ではないが
・片割れ三人を入れれば六つ子だが、本人達はどちらかといえば意識した事が無い。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。