『 』：ライターを拾おうとしたんだ。

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種族：竜人

外見の差異：
・両性
内巻きで短めの角、小さめで肉厚の耳。
その全てがなめらかな曲線で構成されたような外見。立ち姿は正に砂漠に付いた砂の出っ張りか、体が緑色になっていたらサボテン、もしくは不恰好にボケた蜃気楼。
髪は長く引き摺る程であり、普段は前髪に隠されているが黒目がち。若干東洋交じりの目鼻立ちは整っているといえるが無機質的な印象を与え、これは本人の顔にあまり表情と呼べるものが無いから。

竜形体：筒竜
特出すべき事はこの竜には首と呼べる部分が無く、手足もまた無く、突き出た物は全身に生えた烏賊の様な触手だけで、正に筒と呼ぶに相応しい外見をしていること。
正面から見た口は正に穴、口内に螺旋状に三重に短く細かい牙が生えており、物を大きく丸呑みにする事が出来る。眼や耳は無い様に見えるが、実際は皮膚一枚下に生えているらしい。（物凄く分厚い瞼状態）
全身の触手は先が筒状になっており手足が代わり（というより、手足が変化した物）として使用、思いの他細かく動き、海中ではそれで大きく水を吸い込んで勢い良く吐き出し加速する。
また、先が粘性になっている為、洞窟内の天井等に貼り付け、垂直の壁を難無く登ったりも出来る。この粘膜から発せられる粘液は非常に絶縁性に優れ、これを利用した放電（原理はデンキナマズとかと同じ）が可能。（その場合は尻尾をアース代わりにすることも）
飛行能力は一応はあり、背中の皮膚とほぼ同化しているが大きく開けば自分の全長と同じ程の羽を二対、持久力は少なくないので原型と同じ程度飛べる。（竜にしては低い）

人形体：
全身にちゃんと突起物はあるというのに、原型時の突起すら無くした所為か、更に何の起伏も無くなった様な外見になる。
皮膚は非常に白く柔らかくすべすべ、何故か常日頃から冷たい。発汗もあまりしない。

詳細：真似して考えた
昔から自分はあまり感情が豊かな方ではない、寧ろ、良く解らない方なのだろう。自分の中では楽しげにしていても、この鉄面皮は変わらない、表情の練習とやらをしてみたことはあったが、大した効果は無かった。
そんな中で得意になったのは人真似、他人が何かするのを完璧に真似る、特に誰かが踊った舞踏や音楽を真似るのは自分でも得意で、それを真似て見せると拍手喝采が飛ぶ。自分唯一の特技。
ある日旅人達が来た、この旅人は何故こんなに沢山の子供を連れているのかは知らないが、相手が誰であっても互いを高め合うのが竜人の流儀、その日も皆で歌い踊って語り合い、火を囲んだ。
８番目に主役に上がったのは小さな少女、自分も大概だがまだ幼く触手も生え揃ってはいない、というのに、彼女は自分の久しく高ぶることのなかった感情を呼んだ。まだ限られた音の中、彼女は大人顔負けの演奏をしてみせる。
何時の間にか気分が良くなっていた自分は、気が付けば少女の演奏に合わせて物真似を、彼女の音や舞踏と同じ動きを完璧に真似ていた。こんなに完璧な真似は初めてだ。自分は自分だけで出来る曲なんて知らない、出来るのは人真似だけ。
これでよかった、普段なら、しかし、何故だろう、自分の目線の下で両手を強く握る彼女は、眉根を強く寄せて涙を流している。自分も涙を流す彼女の真似をして涙を流したが、これは自分でよく解る程の失敗だ、彼女の涙を自分は真似しているフリをしただけで真似出来ていない。ただのニセモノ。
なんて今の自分は不恰好なんだ、体を小さく丸めて輪の中に戻り、何故こんなことになったかを探す、彼女の姿ごと。さっきまで火の輪に居た彼女は、自分はまだ解っていないというのに輪の中に戻って、自分の中には不可解な感情が渦巻くことになった。
宴の終わり、彼女の踏んだ足跡をそこにあるものとしてなぞりながら、もう一度その真似をしてみる。一歩、一歩、その度にこの感情は湧き出て、自分の精を焦がす。まるで体ごと焼け爛れてしまいそうだ。
踏み固められた土の湿った音、耳に届く筈の音は加速する、だが自分の耳には届かない。あの小さな足跡にはその短い時間に刻まれた、濃い勤勉と厚い努力、そして重い誇りが入り混じった物。だからこそ、自分も心打たれて。

彼女の涙は自らの未熟を呪う涙だった。
そして今の自分に湧き上がる、これは未熟の呪う怒りだ！

備考：
・髪質の問題で寝癖が何時も物凄い
・砂漠での生活には完全に満足していた
・本人にオリジナルで踊らせると酷い事になる
・竜形体には頻繁になる方
・気に食わないことがあると土に埋まる
・というより、よく埋まっている