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不思議の国:哀れその身、野に埋もれしか [もの]

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種族:竜人

外見の差異:
・両性
まだ成長しきっていない角は上に向って伸びて先が二又、角の周りがまるきり骨だけで皮が無い(角に神経が無い)ので、将来的にはトナカイの様な角になるのではないか、と言われている。
体の要所要所がぺったんこ、成長していないというよりは、成長はしているが中身が無く、主羽は下羽の如く薄っぺらく下羽は紙の(強度はそのままだが)様で、尻尾もまた妙にひょろひょろとして骨っぽい。
副鰭も薄いが何故か引っ張るとよく伸びる、ゴムの如く。舌先が他よりも大きく裂けており、先をそれぞれ自由に(そりゃあもう、うねうねと)動かすことが出来る。

竜形体:まだ竜になれない

人形体:
黒目の割に瞳孔が小さいギョロ目の子供、やっぱり手足が長くて薄ったいが同時にひょろ長く、この姿だと普段の姿より身体的な違和感が(他から見たら)薄い。
鱗が無くなって更にに薄い。舌が器用なのは原型同様で、形は人間の物でも舌を7つに折るという特技がある。
細いが尾羽は二本。小さい耳は敏感らしい。

詳細:嘘吐きを見張る夜。
自分には兄弟がいる、いや、兄弟だったらそこいら中に見渡す限り土にも水にも空気にもゴロゴロ転がってるが、これは自分が不覚にも最も「兄弟」であることを意識してしまう奴の話。しかも、自分より年上のヤツの話。
朝、目が覚めて最初に見た顔がこいつだった時なんて最悪、あいつは明らかに自分に向って「うわぁ、嫌な物見た」というような目を向けてきて、自分の折角目覚めて丸一日のゴキゲンムード(に、なるかもしれないムード)もぶち壊しにされてしまう。
つまんなーい、と言われるとムカつく。殴り合いの喧嘩でもしてやりたくても、あいつは常に自分を子供扱い、同等の土俵に上げようともしない。まあ、自分みたいに可愛い子を可愛がりたくなる気持ちはよーく解るが、子供であることで特するのは好きでも、子供扱いは嫌いだ。
年齢なんて絶対に超えられない物でどうして人を括るのだろう、先に生まれたことがそんなに偉いのか、まったく今日も酷い目にあった。何の疑いも無く自分を膝に乗せているこいつ、夜の砂漠の寒さに自分の体温で暖を取ろうとしているこいつ、何故そんなに、酷く空虚な顔をする? 折角自分を膝に乗せるのを許してやっているのに。
あの横顔、顔は笑っていると言うのに、覗き込む瞳に浮ぶ憂いに似た感情は何だ、まるで永過ぎる旅路に酷く疲れ果てた旅人の様な、疲れや苦しみなんて、過去も未来も砂の中に埋もれ続けている自分達には無縁のことだというのに。無縁になれるからこそ、自分達は砂漠に留まったんじゃあなかったのか?
瞳を覗けば向けられるのは自分に向った不快な言葉、しかしほんの一瞬、一日が終わる瞬間にだけ、その顔は姿を現す。他の誰かはこの表情に気が付いているだろうか、いや、これは表情にすらなっていない、もしかしたら、この刹那は本人すら知らないことなのかもしれない。
その日もまた馬鹿にされて、真夜中に起きると、子供は寝てろ、とからかられて。またあの顔をされた。止めろ、如何してその顔を自分に向ける、自分と一緒にいる時だけそんなに酷い顔をして、何も出来ない自分を苛むんだ。日が昇ってしまえば全て消える、嘘だったかの様に全てが影の中に消えて、瞳の中まで笑い顔に染まる。
きっとまた、自分をからかう為の嘘に違いないんだ、こいつはあんなに嘘ばかり言っていたのだから。今日もアレを見た、次の日も、また次の日も、これに気が付いているのはきっと自分一人、自分は何時の間にかこの大嘘吐きの見張りになっていた。何から見張っているのかは自分でも解らないが。
残り火が音を立てる中、口癖の様なつまらん、と、悪態の中に混じって「外へ出たい」という折の話をした。出て行きたければ出て行けば良い、悪態でそっくり押し付けてやる。外に出たい、竜人が「自由になりたい」なんてのたまうとか、タチの悪い冗談みたいじゃないか。旅人、終わらない旅、それが自由なのだろう?
心の何処かで、永遠なんてものは此の世に無いとは解っていた、日が沈むのを止められない様に何時かは自分達も此処を出て、広い外の世界へ出て行かなければならないのだろう、と。でも、この場所は居心地が良くて、あまりにも懐かしさに絆されてしまう。
どちらにしても、子供の自分に出来ることは無い。自分はこの場所から出て行く時は、自分で自分の全てに決着を付けてから出て行くつもりだった、こいつもきっとそうだ、自分達は本当に良く似ているのだから。
それでも、こいつが自分にした様に罵詈雑言に混ぜて一言「付いて行く」とだけ言う事にした。他の誰にも解らないだろう、一番近い場所にいる自分にしか、こいつの徐々に砂漠から外れつつあった感情を見抜けた様に。この繋がりを破壊する楽園ならいらない。
これが、酷い眼をしたこいつを見る最後の日。
翌日、久しぶりの旅人が沢山やって来た。打算に眼を輝かせたあいつに連れられて。
耳打ち。
約束は守ろう、自分は大嘘吐きではないのだから。

備考:
・飲み過ぎてお腹壊して以来、動物の乳は苦手
・本人も嘘吐き、飽きっぽい
・実は人に変身出来るようなるのがかなり遅かった
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