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生生流転の子:夢の中で目が覚めて、また別の夢を見る、それが生ってもの [こ]

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種族:竜人

外見の差異:
・両性
ぷにぷに、年齢の割に発育が遅いらしく人形体と間違える程に鱗が薄く、角も小さく、捻れずに伸びたりきりで回りを皮で出来た膜がすっぽり被っている。
しかし、よく飛ぶので羽だけは歳相応(か、それ以上に)に成長しており、主羽が本人の体を大きく包み込む程と、体との比率が微妙に合わない。
髪の混じる様にして触覚は生えており、普通より柔らかい。

竜形体:まだ竜になれない

人形体:まだ人になれない

詳細:夢の終わり
見上げても上が見えない程背の高い木々、海より深く山が丸ごと沈んだような大きな湖、見た事も無い色に咲き誇る柔らかな花の香り、何よりも、皮膚や目を焼くだけではない日溜り、踏めば水を滴らせる土の感触、およそ砂漠の中とは思えない場所。
彼女はこの場所が大好きだった、家族と暮らすオアシスとも違う少し不思議な森。何時もの場所から真っ直ぐ行って、歌うサボテンを曲がり、三角岩を越えて、一本シダを目印に旋回、小さなオアシスを通り越して少し行った先、その場所はあった。
遠くて毎日来れる訳では無い、毎回羽を伸ばして飛んで行く度に羽がくたくたになって、昔は誰かの巣だったらしい枯れ草に横になるのが日課。そう、この場所だけはどれだけ風にぶつかっても肌を痛めない、遠い記憶に霞んで思い出す事も出来ない誰かの様に髪を梳いてくれる。
でも帰り道はラクチンだ、家族の誰かもこの場所を知っているらしくて、遊び疲れて眠ってしまう頃には誰かが迎えに来て、彼女はオアシスの周りで目が覚める。そして、お土産話を楽しむ。
大人は羨ましい、毎回ヘトヘトになってあの森に行く自分と違って、自分の目が覚めた時誰も疲れた様子を全く見せない。一人で飛んでいくだけではなくて、自分を抱えて飛んでいるというのに、自分もほんの少し早く大人になりたくなる。
砂漠の何処を見渡しても他に無い場所、自分の話を聞いている時のきょうだいの顔は楽しそうでもあって、何だか少し不安そうな顔をしている時がある。きっと遠くに行くから、流砂に連れて行かれてしまわないか、心配しているのだと思う。
次に行く時は家族で行きたい、そう、自分をよく膝に乗せて遊んでくれる、あの人と。今日その場所に行くと、森の周りを大きく取り囲む様にして白い花が土に敷き詰められた様に咲いていた、サボテンの花にそっくりで鳥の形をした花。
一本位摘んで行こうか、その日珍しく花摘みをする気分になって手を伸ばす、すると親しい手が伸びてきて自分の手を握る。あ、あの人だ。嬉しかった、付いて来ているのなら最初に言えばいいのに。
この優しい太陽がどうしてもみんなと見たかった、ずっと、ずっと、あまりに嬉しくなって約束をした、明日もまた一緒に此処に来ることを。指きりをする。彼は絶対に約束を破らない、また明日来る時は抱えてもらおうか。喜びに任せて遊ぶと、直ぐに日が暮れて鮮やかに染まった空を見ていると眠くなり、目を瞑る。
目が覚めた時、太陽は上って朝になっていて、自分は飛び起きた。朝だ、朝が着た事がこんなに喜ばしかった事なんて今まであっただろうか、早くあの人を起こして、何時もの場所へ行こう。まだ眠っている腹に乗って無理矢理起こすと、約束の話をする。
約束を、知らないと言われた。そんな、嘘だ、だって指切りをしたじゃないか、どれだけ彼の腕を引いて思い出させようとしても、彼は困ったような顔をして、ずっと不思議そうな目を向ける。このままではラチが明かない、引く腕に更に力を篭めて、私はその人を連れて高く空へと飛び上がった。行く気が無いのなら、自分が連れて行こう。
何時もの場所へ飛ぼうとして、何時もの場所には大きな岩山があったことを思い出した。無理矢理に加速しても、歌うサボテンは歌を聴かせてくれない。三角岩のあった筈の場所は擦り切れた小石の様な物があるだけ。一本シダなんて影も形も無い。小さなオアシスはあったが、あのオアシスは綺麗な円の形をしていたというのに、見えた水面はぐにゃぐにゃと好き勝手な方向に曲がっていて。
そう、全部、夢だった。
旅人の話を聞いて外を夢想する内に、知らず知らず、外の世界を自分の中で形作って夢見ていた。
どれだけ高く飛んでも風は包み込んでくれない、疲れ果てて落ちそうになった自分をその人は受け止めてくれて、花だった筈の焼けた砂の上に降りる。目が痛くて目が明けられない、目を明ければあの場所に着いている筈なのに、風は酷く叩き付けてくるだけ。
ふいに風が止んで、温かな指が髪を梳く。「綺麗な、白い花だった」と。

あの白い花、サボテンの花は自分が一番好きな花だった。
泣きついたあの胸の温もり、私は、生涯忘れる事は無いだろう。

備考:
・本当は人に変化出来る歳だが、何回やっても中途半端な結果(体半分だけ、とか)(一度その半端に状態から戻れなくなったりした)になるらしく、未だに出来ない
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