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虚の者:音も無い温もりが二人を包んで [もの]

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種族:竜人

外見の差異:
・両性
太く左右に向って伸びた角が特徴、伸びすぎた爪の様に筋が根元から先端に集まっていて、手触りはざらざら。先端まで血管と神経が通っている為、触ると妙に柔らかくて温かく、根元からは脈が計れる。
体表の鱗が非常に多く成長していて、それはもう手足は勿論のこと胸から腹から羽から果てには頬まで生えており、感情が昂ぶると鱗が逆立って精の色に波打つ。
羽は主羽こそ歳相応の物が生えているが、鰭も含めて二対は小さく、飛行はそこまで得意ではない。主羽の表面に何故か(太っても無いのに)皮が沢山余っており、触るとぶよぶよしている。
ひょろりと薄く、細く、繊毛が生えていない長い触角、精度に優れすぎて遠くの「感覚」まで共有してしまう程、だとか。

竜形体:蛾竜
顎が嘴のように進化した小型の獣脚類風の外見、鱗の一枚一枚が細かく体毛は無し。棘のついた襟飾りを持つ。襟飾りの表面には体内で生成される鱗粉の様な物で大きな目玉模様が描かれており、大きく広げることによって威嚇をする。襟飾りは空中や水中、地中の音が分散し易い場所での聴覚の強化を図った物。
羽は蛾の羽に似た形状、二対一組で飾り羽があり、皮膜部分が少なく肉厚で襟飾りと同じ様に表面が鱗粉に包まれ、ひだ状の文様が浮かび上がっている。この鱗粉は防水作用が非常に強い為、水中にも問題無く進んで行く事が出来るが、何らかの衝撃で落ちてしまった際はまた生成されるまで飛べない。
目の真上に二本角、血の通った部分(眼球も)を強化する為に根元は装甲状になっており、実際の角(骨)の太さが、これによって更に太く見える。
尾は先端部が根棒状で、最先端が細い針のようになっており、根棒状になった部分で体内の鱗粉を液化することによって同一の物質で出来た麻痺毒や、溶解液を刺し込むことも可能。
鱗粉は別生物の体内に入って初めて毒性を持ち、生成前は強い興奮作用を持つとか。

人形体:
何時も眠そうな顔をした地味っぽい美人、左目だけ何故か二重。あまりにも夜更かししすぎ三重や四重になっている時もあるという、左目だけ。
肌の色は白く、鱗が無くなった場所にほんの少し血の色が透けて見えて、見ようによっては治りかけた傷痕の様に見えなくも無い。
骨の薄い耳は柔らかくて痛覚所か感覚も鈍く、ちょっとしたこと(押すとか)でぶよ、と形が歪む。
別に肉が無い訳では無いのに骨格が浮いて見えるのは最早体質。

詳細:揺り起こす子供
昔、西からやってきたという来た旅人が興味深げに話を聞く家族と火を囲んでいた時、旅の話のついでにこんな話をしていた「この世界はとてもとても大きな竜が見ている夢で、世界の終わりはそいつが目を覚ました時なのだ」と。
少しだけ怖くもある不可思議な話を聞いた夜、夜更けに独りで輪を離れて音も無く冷え切った風に体を晒し、大声で叫んだ「オーイ」渾身の声で叫ぶと、辺り一体で活動をしていた生物が身を縮こまらせ、眠っていた小さな物が飛び起きたのを感じる。それでも、期待していたことは何も起きやしなかった。
その日から、こうして叫ぶ事は自分の日課になった。目的は、夢を見ているらしい誰かを叩き起こす為、自分の夢や寝言に起こされるなんて珍しい話でもないし、こうして毎日叫べば何時かは起きる筈、「オーイ」今度もまたピクとも反応しやしない。
別に「世界を終わらせてみたかった」とか、そんな訳では無い、世界を終わらせる程の不満も、不満を感じる為の感情もとうの昔に薄れて消えた。今こうして叫ぶ理由だって、考えてもキリが無い、強いて言うなら知的好奇心。ということにする。
揺さぶり起こしてやりたいところだが、竜の姿で大暴れしても本人を殴ったり叩いたりしないなら、実力行使で起こすというようなことは出来ない。第一、竜になって暴れようとしたらバカに全力で叩き伏せられて、目が覚めたのは日が暮れてからだった。まだ頭が痛い。
ねぼすけめ、今日も叫ぶ「オーイ」勿論、夢の終わりが見えてくる筈が無く、最近の奇行を家族に取り調べされる。朝○ちさせてやれば起きるのではないか、と言われたので、思いつく限りの痴態を(一人で)演じてみたが、直ぐに「一人で」は撤回された上、虚しくなったから止めた。
竜人は何時頃から自分達が存在しているかを知らない、自分が確証を持てる限りで3000年、もしかしたらその歴史すら一瞬の夢で作られた物なのかもしれない。3000の夢なら、どうしてそんな長きに渡って目覚めないのか、それがどうしても知りたい。兄弟達の感情が外へ向っているのも、世界が滅ぶだとかも、興味の前には塵の如く軽かった。
感情が感情を呼んだのか、あのバカが外から沢山の旅人を連れてきた、これは確実に皆付いて行くだろう。バカがお膳立てしたのも、筆頭の男が魅力的なのもそうだが、何よりももう皆限界だ、外への興味が抑え切れやしない。決断は、思っていた通り早く、数日後に自分もまた旅の空にいた。叫ぶのは止めない。
地面が揺れる、水面に映る三日月がゆらめき、物凄い水飛沫と共に泉の水が立ち上がって周りの木々を薙ぎ倒し、辺り一体に撒き散らされる。自分と、誰かが水に巻き込まれて、遠くを飛んでいる仲間からどんどん離れていって……目が覚めた時、汗がびっしょり出て喉がカラカラになって、急いで水を飲みに行った。最初に付いたこの泉の形、夢の中に出てきた物とそっくり、同じだ。
空に浮んでいるのは三日月、後ろを振り返ると旅人が来ていた。こっちに来てはいけない。夢の通りになってしまう。そんな気がして、自分は泉の方へと逃げる、相手は追ってきて、自分の手を掴んで思い切り抱き寄せた。水の冷たい感触、どうやら、あんまり勢いを付けた所為で泉に落ちたらしい。しかし、泉は夜の明かりでは深くも見えたが、体を収めてしまえば腰にも満たない。
二人で笑った、今度は上手く笑っていた気がする。
びしょびしょになった体を乾かそうと、一番日が当たりそうな所へよじ登って、抱き合って眠った。
臆病な過去の自分を自分で嘲う。
ほらみろ、何をそんなに嘘に怯えていたんだ。永い夢から覚めたって家族も、仲間も、自分自身だって、ちゃんとこうして存在しているじゃないか。

やっと見つけた。やっと目が覚めた。

備考:
・耳の中に耳を収納するなんて芸当も出来るとかなんとか
・飛ぶのは苦手だが気流を掴むのは得意
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